製造業に長く関わった私が、ずっと持ってきた信念;
「生産委託こそ国家衰退」
それは今でも変わることはありません。
製造業こそが経済の基盤であり、そこから産業の裾野が広がり、多くの雇用が生み出されていきます。
近視眼的な(shortsighted)観点から、多くのメーカーが海外に工場を移転してきました。目先のコスト(人件費)を考えれば海外(中国を含む主にアジア各国)で生産をしたほうが価格競争力がつくことは確かです。
しかし;
■製造ノウハウ
いくら守秘義務契約を結ぼうとも、目に見えない製造ノウハウは盗まれていきます。
そして、それを生かして独立した各国が、日本の競合相手となり…つまり自分で自分の首をしめてきたわけです。
■利益確保
製造をしてこそ大きな利益と雇用が確保できます。ものを売る・買うの商社活動では数%の利益しか出ません。だからこそアメリカ(に限りませんが)では、海外の自動車メーカーにアメリカ現地生産を必須のものとしてきたとも言えるでしょう。
outsourceとは、生産や業務を外部委託することです。
短期的には自社生産することによるリスクが減りますが、長期的には自社で活動するノウハウが失われ、再生することができなくなります。
分りやすく「仕事の丸投げ」と言ったほうが、より実態を表していると私は思います。
オバマ大統領のHistoric Energy Billの演説から;
The list goes on and on, but the point is this: This legislation will finally make clean energy the profitable kind of energy. That will lead to the creation of new businesses and entire new industries. And that will lead to American jobs that pay well and can’t be outsourced.
このようなリストはきりが無いほどだが、ポイントはこういうことである。この法制化によってクリーンエネルギーが最終的に利益を生み出す種類のエネルギーになるということだ。これは新しいビジネスや全く新たな産業の創出につながるであろう。そしてそのビジネスは立派な報酬を伴って他国に委託されないアメリカ国内の仕事につながっていくであろう。
ここでいうcan’t be outsourcedとは、つまり海外に仕事を持っていかれない=真似をされない、と理解すればぴったり嵌まると思います。
全く新しい産業であれば、そこでノウハウを蓄積し、高い付加価値を維持し、自国での生産活動による利益と雇用確保を享受できる、ということなのです。
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